仮名草子


1 元のもくあみ物語 A00-霞亭126

 作者未詳。刊本、大本2巻2冊。原題簽(上巻のみ)、左肩双辺「〈新/版〉もとのもくあみ」。内題「元のもくあみ物語」。尾題「木阿弥物語」。上冊15丁、下冊13丁。刊記「延宝八年申九月吉日/小伝馬町三丁目板本所/柏屋与市」。印記「南畝文庫」等。京を喰いつめた主人公木阿弥が、東海道見物をしつつ江戸に下り、大金を手に入れて栄耀の限りを尽くすものの、実は全てが夢であったという筋。江戸の劇場や遊里の情景が写実的に描かれる点に、従来の仮名草子とは異なる新しさがある。西鶴による浮世草子成立の2年前に出た佳作。
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2 死霊解脱物語聞書 E24-425

 作者未詳。刊本、半紙本2巻2冊。内題「死霊解脱物語聞書」。上冊34.5丁、下冊36丁。刊記「元禄三年午十一月廿三日/正徳二壬辰歳改/山形屋吉兵衛/川村屋源三衛門/開板」。印記「成田図書」等。下総国羽生村の百姓与右衛門の娘の菊に取り憑いた、母親累の怨霊が、祐天和尚の勧化によって解脱を遂げるという物語。僧侶残寿による聞書の形をとる。累物の源流として、後続の芸能や文学に大きな影響を及ぼした。展示本は後刷改刻本。