3.「お雇い外国人教師」の周辺
   −生活と文化

 東京大学創設以来帝国大学時代におよぶ20数年間の大学のキャンパス風景、
外国人教師の待遇や生活などを、主として総合図書館所蔵「東京大学50年史
史料」の中から取材した写真やパネル等によって概観してみよう。なお、東京
大学人事課所蔵「御雇外国人関係書類」はマイクロフィルムとして総合図書館
で利用できる。
  1. 大学構内の変遷
    1. 開成学校(錦町時代) [写真]   原画は3枚続の錦絵、東京医学校とともに東京大学の名称で明   治10年に統合される以前のもの   (総合図書館「東京大学50年史史料」138)
    2. 開成学校開業式書類の内「外国人教師へ/天皇勅語」       「開業式参加外国人教師一覧」   (総合図書館「東京大学50年史史料」267)   
    3. 「開成学校鳥瞰図」 [パネル]   (総合図書館「東京帝国大学50年史」K40:269)
    4. 開成学校構内の「お雇い外国人教師」屋敷配置図 [写真]   神田錦町時代の外国人教師と屋敷の番地が知られる。   (東京大学大学史史料室「明治4年 文部省往復」)
    5. 本郷における医学部平面図 [パネル]   明治13年    (東京大学大学史史料室「東京大学本部構内配置図、沿革」2−1)
    6. 東京大学平面図 [パネル]   明治19年   (前記資料に同)
    7. 帝国大学略図 [パネル]   明治25−26年   (総合図書館「東京帝国大学一覧」ZK−42)
    8. 東京帝国大学平面図 [パネル]   明治32−33年   (前記資料に同)  
    9. 「お雇い外国人教師」館 [写真]   明治33年、小川写真製作所作製、パリ万博出品   (総合図書館「東京帝国大学」)
  2. 「お雇い外国人教師」と大学との定約書および履歴
    1. フルベッキ(G.F.Verbeck 1830−1898)の英文定約書   明治2年4月1日から明治5年9月30日における定約書の写   (総合図書館所蔵)    
    2. フルベッキ(G.F.Verbeck 1830−1898)の和文履歴書   東京大学人事課所蔵「人事記録」   明治政府に強く招聘され、文部省雇いとなり、大学南校の英語  および学術教師をする傍ら、さまざまな諮問に応じて諸施策を提  言した。後には大学南校の教頭も勤め、月俸600円という破格  の待遇を受けたが、「近代日本建設の水先案内人」または「近代  日本建設の父」と称されるなど、果たした功績は大きい。
  3. 「お雇い外国人教師」の給料  当時の大臣や大学長の給料と比較するとき、かなりの高額であったこと が知られる。さらに、帰国後も年金が支給されていた外国人教師もいたが、 当時の外国人にとって日本へ行くことは身の危険を顧みないことでもあっ た。
    1. 開成学校2(明治7)年「お雇い外国人教師」の給料表   (総合図書館「東京大学50年史史料」258)
    2. 「お雇い外国人教師」に対するその他の贈与記録   (総合図書館「東京大学50年史史料」24)
    3. 明治10年当時の日本人大学教官、学長、高級官僚の俸給記録   (総合図書館「東京大学50年史史料」241)  
  4. 「お雇い外国人教師」のその他の生活状況
    1. 明治6−8年における旅行許可記録   (総合図書館「東京大学50年史史料」165)
    2. 「明治4年含要類纂」   (総合図書館 「東京大学50年史史料」87)  当時はまだ攘夷思想が残っており、外国人が襲撃を受ける危険も 大きかった。明治3年11月23日、大学南校教師ダラス、リング の2人は神田鍋町の縁日に出かけたが、見物中に背後から日本人の 青年によって斬りつけられるという事件がおきた。翌日の「太政官 日誌」にはこの事件に関連する記述が見られるが、時の政府の驚き はひととおりではなく、高額の治療代が支払われた。
  5. 「お雇い外国人教師」の学科表
    1. 東京大学時代学科表 [パネル]   明治13−14年   (総合図書館「東京大学50年史史料」24 「東京大学年報」ZK−365)   
    2. 「仏蘭西語教程」   江戸の版本に倣った子持枠付フランス語の教科書。幕末から維新直後  の刊行か。   (総合図書館「東京大学50年史史料」73)
  6. 「試業答書」他
    1. 明治13年6月の『試業答書』 (総合図書館所蔵)
    2. 明治13年6月の『試業答書』(加藤高明) (総合図書館所蔵)  明治・大正の政治家加藤高明の答案。東京大学法学部第3年級の 時のもの。試業科目は、「衡平法」。   
    3. 文科大学校明治30年卒業写真 [パネル] (総合図書館所蔵)  最前列右から5人目にハーンの左向き姿が写る。子供時代縄遊び で左目を失明したハーンは左方からの撮影を避けた。ハーンの横に はリースの姿が見られる。当時の文学部教官と学生たち。
  7. 「お雇い外国人教師」の見た日本
    1. コンドル自筆小型ノート   縦22.0cm 横14.7cm   工学部建築学科(請求記号なし) 貴重書  コンドルが日本画の色見本と模様見本を手控えたノート。文章や 語句のみの部分12p、色見本3p(3枚)、模様見本14p(14枚)。 ノートの大部分は未使用で罫線のみの白紙である。模様見本は和服 の模様を和紙に描いて切って貼付したものなどがある。
    2. コンドル自筆スケッチブック (和装本)   縦43.5cm、横33.0cm   工学部建築学科(請求記号なし) 貴重書  コンドルが絵や模様を手控えたもの。内容は花鳥など日本画のも のと、西洋建築に関するものに大別できる。いずれも和紙やメモ帳 等に描いたものを貼付している。
    3. Japanischer Humor / Curt Netto und Gottfried Wagener   1901年  Leiptig : F. A. Brockhaus   縦28.7cm、横21.0cm 283p   工学部材料系図書室 (請求記号なし)  帰国後のネットーがG・ワグネルとの共著で1901(明治34) 年に出版した「日本のユーモア」。日本の絵画から取った挿絵が多 数収録されている。共著者のワグネルは東京大学や東京職工学校 (現・東京工業大学)の教師をつとめた人で、この本の出版よりも前 の明治25年に東京で亡くなっている。なお、日本語訳(高山洋吉 訳)が1958年と1971年に出版されている。
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