19 浅草寺門前沽券覚書
19 浅草寺門前沽券覚書
製作者・製作年不明 手書図 48 × 63 cm
総合図書館(南葵文庫)SJ:253
「沽券」(こけん)とは町屋敷の売買の証文のことであり、沽券を持っているということ
は、町屋敷を所有していることを意味している。「沽券にかかわる」という言葉は、ここに
由来している。沽券図は宝永7年(1710)〜正徳元年(1711)、そして、延享元年
(1744)の二度にわたり、江戸町奉行が、町名主に命じて作成させた江戸町の屋敷割ま
で示した絵図である。町名主の支配地域である数町単位で作られ、個々の町屋敷ごとに、間
口、奥行き寸法、地主名、小間高を記し、地籍図と土地台帳を兼ねたようなものである。
原本には売買の度ごとに、所有の署名捺印した小片がつき、図製作の書き入れ文と年号が
記されている。巨大な図幅に手彩色があり、皆写図である。形式は、原則として各町ごとに、
通りをはさんで個々の屋敷の並ぶ町の概形が描かれているものである。
本図は、大きさからみても、また署名捺印も記されていないので、「沽券図」そのものでは
なく、後に「覚書」として作成されたのではないかと推察される。(図名は題簽による。)
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