8 江戸大絵図


                   

8 江戸大絵図 林吉永板 天和3年(1683) 木版手彩色 127 × 150cm 法学部法制史資料室 乙-8-198 関西の大手版元、林吉永の江戸図。貞享2年(1685)頃、江戸店を出した。江戸の表 紙屋と共に延宝・天和・貞享期(1673―88)に江戸図の最盛期を現出した。 極めて絵画的、装飾的で、絵入り図として最も華麗である。手彩の色彩も、良質な顔料の ため退色が少ない。三隅に目黒不動、板橋宿、向島木母寺・梅若塚のカットがあり、板橋近 くに馬上と徒の武士と従者らしい2人の旅姿が画かれている。品川の海には華やかな遊山船 や、漁師の船が浮かんでいる。十万石以上の大名上屋敷には定紋が入り、寺社は絵模様で画 かれている。十間川以東の本所、深川は左下に別図として描かれている。拡張し続ける江戸 の範囲は固定的ではなかったが、一枚図に収められてもいなかった。延宝期(1675年頃)、 遠近道印がこの地域を別図として組み込み、以後この方式が定着していった。(図名は題簽 による。)

                              
展示図録へ戻る    展示会入口へ戻る
E-mail: sanko@lib.u-tokyo.ac.jp