3 武州豊嶋郡江戸庄図
3.武州豊嶋郡江戸庄図
写本( 原図 寛永9年(1632)) 製作者・製作年不明 90 × 132 cm
総合図書館(南葵文庫・坂田文庫) J81:1272
現在いうところの地図らしい地図としての最初の江戸図が、伝存されているものとしては、
この武州豊島郡江戸庄図ということになる。寛永年間に、最初の版が作成されたこともあっ
て、それに系統づけられるもの、あるいは類似の図について、大きく寛永図といっている。
寛永図の特徴は、絵画的な描法を残している点、図形上、江戸城の範囲とくに本丸から西の
部分は、実際よりも東西に短く、南北に長く表現されている、という地図のゆがみのある点、
また、すべての文字が同一の方向にむけて書かれているという、さきの鴎外筆写の長禄江戸
図と同様、現代の地図の表記の仕方と同じ方法をとっており、数多い江戸図全体からみれば、
むしろ例外的である点、市街地を過不足なく包含して現わすというよりも、むしろせまくと
って周辺の市街を切りすてている点、さらに、西側すなわち江戸城の背後の地名が取りいれ
られていない点、それから最後にこの図は額題を持っている点など、様々な特徴をもった地
図である。
展示図録へ戻る
展示会入口へ戻る
E-mail: sanko@lib.u-tokyo.ac.jp