1 長禄年中江戸絵図


                   
  

1 長禄年中江戸絵図 写本 製作者・製作年不明 85 × 84 cm 総合図書館(南葵文庫) J81:1279 長禄江戸図は、江戸図としては最も古いものに属すると、考えられている。しかし、この 図を詳細に見ていくと、近世の江戸の面影も感じられる。江戸図の研究者の一般的見解では、 この図の元は、「小田原衆所領役帳」の地名を主に、中世を理解する便宜のために、図上に 近世的な知識でもって配置を試みた図ではないか、と考えられている。その根拠は、中世の 江戸では、日比谷入江が深く本郷台地にまで入り込んでいたと思われる点、またその入江の 東にあった江戸前島が図に表現されていない点、また溜池は江戸外堀築造のためのダム工事 で作られたものであり、それ以前は川だけだったと思われる点、などである。この江戸図は、 上が西になっているが、図を見る者の視線は、四方から見られることを意識して書かれてい る。(図名は題簽による。)             

                              
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