かつじん しんぽう

37. 活人心法    2巻 2冊


明朱権撰
朝鮮明宗5年慶州府刊本
原表紙、五針眼釘法、日本改糸、32、4×19、8糎、
四周単辺 内框24、8×16、1糎、有界、9行17字、
註双行字数同 上下内向黒魚尾、魚尾間「活人心上 幾」。

 本書は道経医学書で巻首にく僊序(くせんじょ)がある。

 く僊(仙)は明太祖の皇子朱権の號で、巻上首「玄洲道人涵虚子編」とある涵虚子も同人の號である。本書は中国では稀覯に属するようであるが、朝鮮では数版がある。

 東大本には巻末に「嘉靖庚戌歳/慶州府新刊」なる木記があり、明宗5年(1550)慶州府刊本であることが判る。朝鮮本では、特に外典では刊記が稀であるので、この木記は貴重である。書陵部本は本書と同版であるが、本書の如く誤字に訂正が施されていない。 成簣堂文庫には嘉靖20年(1541)安■跋羅州刊本がある。

 本書には「養安院蔵書」「養/安」「森氏開萬/冊府之記」「三井家」「画餅居士/蔵書之記」「大正/十四年/所得」の印がある。特に注目されるのは前二印で、養安院とは儒医曲直瀬正琳の院號である。彼は宇喜多秀家夫人の病を治した功により、豊臣秀吉の手許にあった朝鮮将来の多数の書籍を賜ったという。江戸初期には朝鮮本を底本とした刊行書が多いが、この慶州刊本も承応2年(1653)に『く仙活人心法』として、京都で出版されている。

(藤本幸夫)


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