当時の写真技術


     
 現存する最古の写真は、1826年にフランス人のニエプスによって撮影された。この技法は、発明者であるニエプスによって、ヘリオグラフィ−と名付けられた。

 その後、ニエプスと提携して研究を行っていたフランス人のダゲールが、ニエプスの死後、1839年にダゲレオタイプ(銀板写真)を発表し、写真術は世界中に伝播していった。銀板写真が日本に渡来したのは、嘉永元年(1848)のことである。

 1851年にイギリスでウェット・コロジオン・プロセス(湿板写真)が発表され、日本には安政年間の初めに輸入された。これはコロジオンをひいたガラス板を硝酸銀に浸して感光性を与え、ぬれているうちにカメラにセットして撮影し、現像しなければならなかった。しかし、露光時間が短くなったばかりでなく、一枚の原板から何枚でも同じ印画がプリントできるネガ・ポジ法であり、日本では、明治中期に乾板写真が輸入されるまで使用された。


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