『丹州蟲譜』
[タンシュウ チュウフ]

  栗本丹州・撰 服部雪斎・写 [転写年代不明] 写本 3巻2冊

  【請求記号:AOO-5843】

         
  イラムシ(毛虫)      松ケムシ         ヨロイチョウ
   
 栗本丹州(1756-1834)は名を昌、(マサヨシ)、号を丹州といい、田村蘭水の次男で幕府医官栗本昌友の養子となる。養父と同じく幕府の医官を務め、文政4年(1821)には医師の最高位である法印(ホウイン)に叙せられ、瑞仙院と称した。

 鳥獣草木に詳しく、それまでなかった虫に関する図説を作った。虫類全般にわたったもので写生が科学的。その内容は昆虫だけでなく、爬虫類、両生類等の他、河童までも含んでいる。(当時の "むし" という範疇には入っていた。)

 図は547点を数え、採集しやすかったためか、幼虫や蛾の収載が多い。変態や産卵の様子も写生している。丹州は顕微鏡を多用して写生したという。

 原本は「千蟲譜」で17年の歳月を費やし、文化8年(1811)完成。本書は明治9年(1876)に田中芳男が博物画家の服部雪斎(1807?-?)から譲り受けたものである。


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