『植物学』 
[ショクブツガク]

  李善蘭・書 安政5年(1858)  98丁

  【請求記号:T83-145】

 植物学という熟語を英語の Botany の訳語に用いた最初の図書。英国人 John Lindley(1799-1865)著 Elements of Botany(London, 1841年刊)の漢訳本。漢訳は英国人宣教師韋廉臣(Alexander Williamson, 1829-1890) が口述したものを、数学者で翻訳家の李善蘭(1810-1882) が筆述した。全部で8巻からなるが、最後の1巻は英国人宣教師艾約瑟が代わって漢訳した。日本では下野国足利の求道館が、慶応3年(1867)に同書を『翻刻植物学』として翻刻刊行した。

 本書は内容的には初歩的な教科書であるが、近代日本の動植物学の草分けである宇田川榕菴以来用いられていた「植学」に代わり、呼称を「植物学」へ一新したことにより、日本の植物学にとって歴史的に意義のある資料である。


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