チベット語写本・刊本

[総合図書館蔵チベット語文献]

 総合図書館蔵のチベット語大蔵経・ナルタン版・テンギュル(論疏部)は、河口慧海(1866〜1945)がチベットから将来し、本学に寄贈されたものである。(因みに本学文学部にはこれとは別の多田等観将来のナルタン版・テンギュルが収蔵されている)。サンスクリット写本の場合と同様に、当初文学部梵文学研究室に収められていた本チベット語大蔵経は、関東大震災により同研究室が被災した折りに、その一部が焼失した。現総合図書館が完成した1923年以降は、同図書館に移管され、現在に至っている。なお総合図書館には、ナルタン版・テンギュル以外にも、河口慧海将来と考えられる複数のチベット語文献が保存されており、今回展示する『聖七如来往昔本願殊勝大乗経』(『薬師瑠璃光七佛本願功徳経』)もその一つである。
チベット大蔵経ナルタン版・テンギュルカード目録データベースこちらから

[文学部蔵チベット語文献]

 東京大学文学部は、多田等観(1890〜1967)収集のラサ版カンギュル(仏説部)、ナルタン版テンギュル(論疏部)、デルゲ版テンギュル(論疏部)の他に、同氏収集の400点を超えるー主に蔵外ー文献とともに、青木文教(1886〜1956)収集の13点のチベット語文献を所蔵する。後ニ者の総数425点に関しては、北村甫『東京大学所蔵チベット語文献目録』(東京大学文学部印度哲学印度文学研究室)が、またラサ版カンギュルについては高崎島道『東京大学所蔵ラサ版チベット大蔵経目録』(同)が、いずれも1965年に日本西蔵学会・第13回学術大会が同学部で開催されるにあたって準備され、同年刊行されている。また、デルゲ版テンギュル内の「中観」「唯観」「因明」の3部については、すでに同研究室編(世界聖典刊行協会発行、1977-1984)により公刊されている。今回展示する4点は、いずれも多田等観収集の「蔵外文献」である。

13. 'Phags pa de bzhin gshegs pa bdun gyi sngon gyi smon lam gyi khyad par rgyas pa zhes bya ba theg pa chen po'i mdo
(Arya-sapta-tathagata-purva-pranidhana-visesa-vistara-nama-mahayana-sutra) 『聖七如来往昔本願殊勝大乗経』

14. Khyad par du 'phags pa'i bstod pa (Visesastava)  『殊勝聖讃』
15. Drang nges legs bshad snying po 『了義未了義善説心髄』
16. Drang nges rnam 'byed kyi spyi don 『了義未了義分別総義』
17. rNam 'grel thar lam gsal byed 『量評釈解脱道解明』
18. rNam 'grel spyi don 『量評釈総義』


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