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「第5回 大学図書館学生協働交流シンポジウム」に参加してきました

2015年9月8日〜9日にかけて,山口県にある梅光学院大学および下関市生涯学習プラザにおいて「第5回大学図書館学生協働交流シンポジウム」が開催されました。東京大学からはACSメンバー2名,職員の方1名の計3名というメンバーで参加しました。このシンポジウムは,各地の大学図書館において,学生が職員とともに図書館の運営に関わり,様々な企画に取り組んでいる今,図書館で人と人が繋がるための新しい取り組みを皆で考えていくことをめざし,2011年から毎年,中国四国地区の大学図書館が中心となって運営され,全国各地の大学図書館から参加者が集まって開催されているものです。
今年度は全国の国・公・私立の約40大学から190名余りの学生・教職員の参加がありました。プログラムの内容としては,1日目に講演,ワークショップ,ポスターセッション,交流会があり,2日目にはワールドカフェ,下関市立中央図書館の見学を行いました。

 

 

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講演では,帝京大学メディアライブラリーセンター・グループリーダーの中嶋康氏により,「共読サポーターズとつくる人・本・学びの新しいカタチ ―リコメンドが循環するアクティブキャンパスを目指して―」というテーマでの講演が行われました。講演では,「読み合い,薦め合い,評し合う」をコンセプトに帝京大学と編集工学研究所が行っている読書推進プログラム「共読ライブラリー」についてのお話があり,国内の大学では極めて稀な取り組みである「共読」とは何かが述べられ,「人と本」が図書館で繋がる新しいかたちが提示されました。
その後,帝京大学メディアライブラリーセンター職員の皆様によるワークショップ「本のバトンをつなげ!!『共読ワークショップ』これであなたもブックアスリート」が行われました。ここでは,「共読ライブラリー」を事例に,本を薦めたり、読み合わせたり、評し合う読書の形態「共読」の理論を学び,実践する場が展開されました。実際に,参加者全員が初めて手に取る新書本の目次情報と見出し情報から内容を把握し,キーワードを書き出した後,キャッチコピーを作成しました。その後3人1組のグループとなり,お互いにその本を紹介し合い,そこで出来があった作品はすぐに参加者が自由に閲覧できるよう,梅光学院大学図書館内に展示されました。

 

 

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ポスターセッションでは,各団体が「今・わが大学のイチ押し活動 未来・これからしてみたい活動」というテーマで発表を行いました。私たち東京大学アカデミック・コモンズ・サポーター(ACS)は,大きく3部に分けて発表内容を練り,ポスター発表を行いました。はじめに,ACSとは何かについて,そして東大が進めている新図書館計画とはどのような計画なのかというとことについて説明しました。次に,ACSの現在の活動内容として,ACSの活動を伝え,広げる広報について,未来の図書館をつくるフロアプランの検討について,そして東大院生によるミニレクチャプログラムについて発表しました。最後に,これからACSが進めたい活動として,図書館の新しい活動の実践や未来の図書館をつくる具体的計画案への参加,広報・PR活動の多角化や学外・他大学・地域との交流・連携を挙げ,発表を締めくくりました。私たちの発表はたくさんの方々が聞いてくださいました。新図書館計画に関わる活動は特に多くの関心を集め、多様な観点からの質問をいただきました。
最後の交流会では,他大学の学生さんや職員さんとお話しすることができました。他大学の図書館では,私たちと同じようにさまざまな学部や専門分野からたくさんの学生が参加していました。また,ACSでは行っていませんが,実際に図書館での貸し借りなどのカウンター業務をお手伝いしながら活動をしている団体が多かったのが印象的でした。少しでも,実際に図書館の業務に関わりながら活動していくことで,より利用者の様子を直に感じながら,そこで得た感触を活動に反映させていくことができているのではないでしょうか。

 

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2日目は,場所を下関市生涯学習プラザに移し,ワールドカフェに参加しました。ワールドカフェとは,カフェのようにオープンで創造性に富んだ会話ができる場と、そのためのプロセスを用意することで,組織やコミュニティの文化や状況の共有や新しい知識の生成を行うファシリテーションプロセスのことです。ワールドカフェのテーマは,「繋がりを生み出す図書館となるために,あなたは何をしますか?」でした。全部で3回の話し合いを行い,まずテーマについて探求し,次にアイデアを膨らませ,最後に気づきや発見を統合する,というステップを踏むことで,多くの方々と問題を共有し,考えを交換することができました。多くの大学ではやはり,「学生たちにどうやったら図書館に興味をもってもらえるか?」ということが課題のようでした。幸いなことに,東大では学生たちが自発的に図書館を利用している傾向にあるので,そのような視点で考えたことはなかったのですが,今回のワールドカフェを通して,一口に大学図書館といっても,多様なあり方が存在していることに気づくことができました。

 

 

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最後に,下関市立中央図書館の見学を行いました。ここの設備の一番の特色は,自動書庫です。自動書庫は東京大学の新図書館計画の構想にも組み込まれ,設置が検討されているものですが,公共図書館で設置されているのは珍しく,中国・九州地区では4番目に設置されたそうです。また,予約ロッカーも設置されており,これは日本では下関市立中央図書館にしかないそうです。公共図書館としては最先端の設備が揃っており,驚きました。

 

2日間に渡る他大学の方々との交流を通して,「本が生み出す『つながり』とは?」という疑問について深く考えることができました。「場所としての図書館が秘める可能性をまだまだ追究していきたい」という思いがつのる一方,「何でもかんでも図書館で,というのはどうなのか」,というような考え方も少なくありません。広く多くの人々にとって図書館が役に立つものであるのを願うと同時に,図書館の良さやその持ち味を最大限に引き出すかたちで,これからも図書館で人と人が繋がるための新しい取り組みを考えていくことができればと考えています。

執筆者:M・T

*第5回大学図書館学生協働交流シンポジウム http://www.baiko.ac.jp/university/library/sympo2015

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